351の詩
チビという犬を飼っていた。
初めて家にやって来たとき、ちっちゃかったからそんな名前が付いた。
近所を一周する、夕方の散歩が日課になった。
散歩から戻る最後の一直線、僕とチビはよく競争をしていた。
ある日、ダッシュで直線する僕と、犬小屋へターンするチビが交錯し、
「キャン」という大きな鳴き声が周囲に響いた。
怒ってるかなぁ?と恐る恐る犬小屋に近づいてみると、
直ぐに擦り寄ってきて、「クウーン」と何度も謝っていた。
僕が、いつもよりルンルンで下校したあの日、
全身を布で包まれて、庭に横たわっているチビがいた。
ご機嫌で下校した理由は、
当時、昼休みはもちろん、10分間の休憩時間も、
一生懸命練習していた一輪車に、初めて乗れたからだ。
僕は、しばらく経ってから、
チビが乗せてくれたことに、気がついた。
偶然とか、こじつけとか、そう信じたいとかでなくて、
「そうなんだな」と不思議に思う。
あれから20年、
今こうしてここに記していることは、もっと不思議です。
2007.02.03
352の詩
窓枠を通して広がる世界は、
時間の流れがとても緩やかだ。
ガラス一枚隔てることで、
あっちは、より幻想的に、
こっちは、より感覚的な空間へ変わる。
やがて、迷子になって彷徨っていた自己意識は、
位置を掌握し、奥へ奥へと遡っていく。
過去と未来、想像と現実、有と無・・・・・
窓枠を通して広がる世界に触れると、
自己が、よりリアルな存在へと変わる。
2007.02.16
353の詩
いくら必死になって言葉を詰め込んでも、
どこかわざとらしく宙に響く。
いくら躍起になって残像を刻み込もうとも、
感動は薄れていくばかり。
文字として表現した想いは、
時の制約から逃れ、自身と乖離していく。
でも、
どんな出来事も、美しくて素晴らしいと僕は思う。
でも、
どんな出来事も、今を彩ってくれていると僕は思う。
2007.02.24
354の詩
今日もどこかで星が落ち、
悲しみの涙、に暮れる。
今日もどこかで奇跡が生まれ、
歓喜の声、に包まれる。
個々は、濁流に放り込まれ、
水飛沫と共に消える運命。
全体は、システマチックに個々を入れ替え、
大きなうねりを継続する。
今日もどこかで星が落ち、
悲しみの涙、に暮れる。
今日もどこかで奇跡が生まれ、
歓喜の声、に包まれる。
2007.06.04