311の詩
欲望の渦に飲み込まれても、
僕は笑っていた。
時折、光が射し込んで来る、
一瞬の眩しそうな表情は苦しそうにも見えた。
欲望の渦に飲み込まれても、
僕は笑っていた。
抜け殻となった僕は、
隠し切れない苦しみを滲ませながら、
いつまでも笑っていた。
2005.3.29
312の詩
誰かに語りかけるなんて、
滑稽な行為にも、傲慢な行為にも映る。
熱ければ熱いほどに、
僕は間違っていないんだ、と聞こえてくる。
でも、それは弱さの露呈のなにものでもない。
つまり、否定の対象になんてなり得ない。
2005.4.4
313の詩
あらゆる現象が折り重なり、一つの答えを暗に示した。
整合してしまったが故に、均衡を失い墜落する皮肉。
粉々に弾け飛ぶは、理性と感情。
(その時の僕には五感の必要性すらなかった)
今僕がしていること。
その破片を拾い、一つ一つ受容していくこと。
2005.4.18
314の詩
薄暗い空間を彷徨い、
幾度となく扉を開けて進んだ。
また一つ探り当てた取っ手を、
ゆっくり回しながら扉を押す。
「重い」
扉が重いのではない。
質量が重いのだ。
僅かに開いた隙間から、
ドロドロになったカオスが溢れ出る。
辺りを暗闇が支配した。
反射的に背を向けた身体は、
扉の奥にズルズルと吸い込まれていく。
しかし、本能がそれを否定した。
意識を高め、記憶を蘇らそうと抵抗する。
朦朧とする中、
おぼろげな記憶を辿り、
自由の利かない身体を引き摺りながら、
その場を逃れた。
扉一枚隔てた所、
光の存在を許さない暗黒が支配している。
2005.4.20
315の詩
人が動物や昆虫に見えることがないだろうか?
ふざけているのではなく、そう感じることがないだろうか?
健気というか、純粋というか、単純というか、
つまりは、ある一つの言動に対する背景が、
僕には全く理解不能である、このことに拠っている。
2005.6.7
316の詩
ある人が、またある人の考えに疑問を持つとする。
およそ、またある人にとって、ある人の考えは屁理屈だと考える。
しかし、ある人の考えというのは、実は高度な理論であったとする。
このとき、またある人にとって、ある人の考えは価値たるものか否か?
2005.6.7
317の詩
知ることは幸福であるか?(馬場数間)
「使命である」
2005.6.7
318の詩
ゴールドコースト二日目、
何の計画も持たない僕は昼下がりに起きて、
まだ熱い陽射しに目を細めながらテラスにある長椅子に腰掛け、
昨日探索した町並みを眼下に見下ろす。
街はよりいっそう寂しく映る。
人や車の往来が自然と視界に入ってくる。
どこか懐かしく心地よい。
物思いに耽るのとはまた違う。
ただ”今”を感じていた。
2005.6.25
319の詩
遥か上空より全てを俯瞰せよ。
2005.7.23
320の詩
皆が手を伸ばしている、
「愛」というネーミングの商品に。
皆が足並み揃えている、
「理想」というキャッチフレーズの看板へ。
いつからか、皆が声を枯らしている、
遠く深い闇の奥底、魂は泣けず。
2005.8.12